UX / UI のデザインに強いWebシステムの開発と、BtoB Webマーケを支援するWeb制作を提供するN’s Creates (エヌズクリエイツ) 株式会社の西山です。
近年、LLM(大規模言語モデル)の活用が急速に進む中、プロンプトに含めるデータ(コンテキスト)の効率がAPIコストと性能に直結する問題となっています。この問題を解決する新しいデータ形式として「TOON」が注目を集めています。
この記事では、TOONの基本的な概念から、JSONやYAMLとの具体的な違い、そしてどのような場面で有効なのかを詳しく掘り下げます。
TOONとは? (Token-Oriented Object Notation)
TOON(Token-Oriented Object Notation)は、LLMへの入力データ(コンテキスト)を最小限のトークン数で表現することを目的に設計された、軽量で人間が読みやすいデータ形式です。
構造化データを扱う際、従来のJSONは括弧{}や引用符""、カンマ,を多用するため、LLMが消費する「トークン数」が非常に多くなる欠点がありました。TOONは、YAMLのインデント構造とCSVの表形式を巧みに組み合わせることで、JSONと同等のデータモデルを、より少ないトークン数で表現することを可能にします。
TOONの2つの記法:階層とテーブル
TOONはデータの性質に合わせて2つの書き方を使い分け(あるいは組み合わせ)ます。
1. 階層記法 (YAML風)
ネストされたオブジェクトや、構造が不均一なデータを表現する際に使います。インデント(通常はスペース2つ)で階層を表現します。
config:
user:
name: "John Doe"
role: "Admin"
settings:
theme: "dark"
notifications:
email: true
push: false
2. 表形式記法 (CSV風)
これがTOONの最大の特徴であり、トークン削減の鍵となります。データベースの検索結果やログデータのように、「均一な構造のオブジェクトが配列になっている」場合に絶大な効果を発揮します。
ヘッダー行でキーを一度だけ定義し、以降は値だけを並べます。
従業員データの配列 (TOON形式の例)
| id | name | department | salary |
|---|---|---|---|
| 1 | 山田太郎 | 開発 | 500000 |
| 2 | 佐藤花子 | 営業 | 450000 |
| 3 | 鈴木一郎 | 人事 | 480000 |
TOONの具体的な利点
-
APIコストの削減
研究によれば、JSONと比較して最大で約40%のトークン削減が報告されています[web:4]。OpenAIやAnthropicのAPIはトークン数で課金されるため、これは運用コスト(特にRAGなど大量のデータを扱う場合)の大幅な削減に直結します。 -
コンテキストウィンドウの効率化
LLMには一度に入力できるトークン数の上限(コンテキストウィンドウ)があります。TOONでデータを圧縮することにより、同じ上限内でも、より多くの情報(例:より多くのDB検索結果)をLLMに渡すことができ、回答の精度向上に寄与します。 -
処理速度の向上
トークン数が少ないほど、LLMの推論(回答生成)速度が向上する傾向があります。 -
高い解釈精度
表形式は、LLMが「これはテーブルデータである」と直感的に理解しやすいため、JSONをパースさせるよりもデータの解釈精度が同等か、やや向上するとの報告もあります。
注意点:TOONが向いていないケース
TOONは万能ではありません。表形式の記法は、あくまで「均一な構造の配列」に特化しています。
ネストが非常に深い、あるいは配列内のオブジェクト構造がバラバラ(不均一)なデータを無理にTOONで表現しようとすると、逆に可読性が下がり、トークン削減効果も薄くなります。そのような場合は、従来通りJSONやYAMLの使用が推奨されます。
まとめ
TOON (Token-Oriented Object Notation) は、LLMのトークン効率とコストの問題を解決するために登場した新しいデータ形式です。
特に、データベースから取得した結果や、APIのレスポンス(配列)をLLMに渡すようなRAG(検索拡張生成)やデータ分析タスクにおいて、JSONの有力な代替手段となります。プロジェクトの要件に合わせて、JSONやYAMLと使い分けることを検討してみてください。
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