デザインに活用できる行動経済学の面白い実験結果

齋藤 公一 / 2025年11月18日

UX / UI のデザインに強いWebシステムの開発と、BtoB Webマーケを支援するWeb制作を提供する
N's Creates (エヌズクリエイツ) 株式会社 フロントエンドエンジニアの齋藤 (@31mskz10) です。

デザイン関連のオススメ本でよく挙がるのが、行動経済学関連の本です。
行動経済学とは、人々の非合理的な行動パターンについて調べる学問です。

人の行動に関する学問なので、それらの知識はデザインでも活用できます。

今回は、デザインに役立つ行動経済学の実験結果をいくつか紹介します。中にはデザインと言うより、マーケティングに近いものもありますが、知っておくと役に立つこともあるはずです。

デコイ効果

3つの選択肢を用意するときに、その中の1つをデコイ(魅力的ではない選択肢)として設定することで、消費者の選択を意図的に誘導できる現象をデコイ効果と呼びます。

有名なのが、雑誌の購読プランの選択実験です。

  1. Web版のみ:$59
  2. 印刷版のみ:$125
  3. Web版 + 印刷版セット:$125

この場合、多くの人が③のセットプランを選びました。
②の「印刷版のみ」がデコイとして機能して、「Web版+印刷版セット」が非常にお得に感じられるためです。
実際に②の選択肢を外すと、①の安いプランを選ぶ人が増加したそうです。

損失回避の原理

人は、得ることよりも失うことに対して強い感情を抱くという概念です。
「1万円をもらう嬉しさ」よりも「1万円を失う悲しさ」の方が、人の意思決定に大きな影響を与えます。

金銭的な話だけではなく、機会も同様で「このセールはあと3時間で終了します!」といったカウントダウン表示も、ユーザーに「機会を失う」と意識させる効果があります。

アンカリング効果

最初に提示された情報(アンカー)が、その後の判断に大きな影響を及ぼすという効果です。船が錨(アンカー)を下ろすと、その場から大きく動けなくなる様子に似ています。

例えば、価格交渉の際に最初に高い金額を提示されると、その後の価格がその金額を基準に判断されやすくなります。

高い値段から順番に安い金額を並べるのと、安い値段から順番に高い金額を提示するのでは、感じ方が変わってくるのもアンカリング効果の影響です。

決定回避の法則

あまりに多くの選択肢があると、人は選択をすること自体を避けたり、あとで満足度が下がったりするというものです。

これは、ジャムの試食販売の実験が有名です。
スーパーに来たお客さんを2つのグループに分け、それぞれで取りそろえるジャムの種類を変えました。

  • 24種類のジャム
  • 6種類のジャム

この2つのグループで、足を止めて試食した人数や購入率を計測しました。
試食をした人数を見ると「24種類のジャムが置いてあるグループ」の方が多くなりましたが、「6種類のジャムを置いてあるグループ」の方が購入率は10倍近くになりました。

このように選択肢が多すぎると、そもそも選択自体をやめてしまうのです。

この法則を活用すると、例えば購入プランを提示するとき、多くても3つくらいに絞ると効果的かもしれません。
「あなたに合ったプランが選べます!」と大量のプランやオプション、カスタマイズができると、そもそも面倒で選んでくれないかもしれません。

まとめ

このような行動経済学の知識を使うことで、デザインを通じて人の行動や決断を理解し、効果的に影響を与えられます。

ただし、一歩間違えるとユーザーを騙して効果を上げようとするダークパターンやスラッジと呼ばれるデザインになってしまいます。
正しいコンテキストとユーザーのニーズに基づいてこれらの原理を適用することで、より使いやすいデザインを実現しましょう。


UX / UI のデザインに強いWebシステムの開発と、BtoB Webマーケを支援するWeb制作を提供する
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