見積もりは必ず失敗する「ホフスタッターの法則」|エンジニアの原理原則5

齋藤 公一 / 2026年10月6日

UX / UI のデザインに強いWebシステムの開発と、BtoB Webマーケを支援するWeb制作を提供する
N's Creates (エヌズクリエイツ) 株式会社 フロントエンドエンジニアの齋藤 (@31mskz10) です。

エンジニア・IT業界には、有名な原理原則や法則がいくつかあります。
先人が何度も経験したことを言語化しているので、そこから学べることは多いはず。

今回は、タスクの見積もりに関する有名な法則「ホフスタッターの法則」について紹介します。

ホフスタッターの法則とは?

ホフスタッターの法則とは、認知科学者のダグラス・ホフスタッター氏が提唱した、次のような法則です。

「作業にどれくらいの時間がかかるかを予測すると、いつも思ったより時間がかかってしまう。たとえホフスタッターの法則を考慮に入れたとしても。」

少しユーモラスで、自己言及的な法則ですが、一度でも開発の見積もりで苦労した経験がある方なら、その的確さが分かるのではないでしょうか。

なぜ見積もりは失敗するのか?

では、なぜ私たちの見積もりは、この法則の通りにいつも楽観的になりがちなのでしょうか?

1つ目は、「未知の問題」が必ず発生するからです。
開発を始める前には想像もしていなかった技術的な問題、利用するライブラリのバグ、あるいはコミュニケーションのすれ違いなど、予期せぬ障害はつきものです。これらを完全に見積もりに含めることは不可能です。

2つ目は、人間が持つ「楽観性バイアス」です。
特に新しいタスクに取り組むとき、私たちは「すべてがスムーズに進んだ場合」のベストケースを想像しがちです。トラブルが起きる可能性を、無意識に低く見積もってしまう傾向があります。

そして3つ目は、タスクの分解が不十分だからです。
「ログイン機能を作る」のような大きなタスクのままでは、中に潜む細かい作業が見えません。「DBのテーブル設計」「APIのエンドポイント作成」「エラー処理の実装」のように細かく分解して初めて、隠れていたタスクの多さに気づくことができます。

日常業務でこの法則と向き合うために

この法則があるからといって、じゃあ見積もりをしないわけにはいきません。
この法則と上手く向き合うための、具体的な考え方や行動をいくつかご紹介します。

  • 見積もりをするとき
    • タスクを可能な限り細かいサブタスクに分解する
    • 自分一人で考えず、複数人(チームメンバーなど)で意見を出し合う
    • 過去の類似タスクにかかった実績時間を参考にする
  • 計画を伝えるとき
    • 「5日で終わります」のような点ではなく、「5日〜8日かかります」のように幅を持たせて伝える
    • 見積もりには不確実性が含まれることを、あらかじめ関係者に共有しておく
    • 予備の時間(バッファ)を計画に含めておく

まとめ

今回は、見積もりの難しさを示す「ホフスタッターの法則」について紹介しました。
要は完璧な見積もりは不可能であるということです。

大切なのは、見積もりの精度を100%にすることではなく、その不確実性を理解した上で、リスクに備えることです。

次の見積もり作業の際には、この法則を思い出して「見落としていることはないか?」と一歩引いて考えてみてはいかがでしょうか?


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