UX / UI のデザインに強いWebシステムの開発と、BtoB Webマーケを支援するWeb制作を提供するN's Creates (エヌズクリエイツ) 株式会社の高橋です!
最近、Webサイトよりも、Webサービスのマイページや、購入して日々使ってもらうツールのUIに関わることが増えてきました。
こうした画面を作っていると、「よくある形にすればOK」とはいかない場面がたくさんあります。本当はこうするのがベスト。でも、こういう事情もある。さて、どちらを優先しようか……。そんなトレードオフの判断の連続です。
今回は、その判断を「記録として残す」ことで、だんだんとチームの資産になっていく、という話を書いてみます。
UIの判断には、正解がひとつに決まらないことが多い
たとえば、こんな場面です。
- 一覧画面に情報を全部出すか、よく使う項目だけに絞るか
- 全部出せば、慣れた人は1画面で済んで便利。
- 絞れば、初めての人が迷わない。
- 削除の前に確認ダイアログを出すか
- 出せば、誤操作を防げて安心。
- 出さなければ、毎日たくさん操作する人の手間が減る。
どちらにも理由があって、どちらも間違いではありません。最近はAIに相談して選択肢を出してもらうこともありますが、「このサービスでは、どちらを優先すべきか」は、使う人や事業の事情を知っていないと決めきれません。
だからこそ、決めた後に「なぜそうしたか」を残しておくことが大事だと感じています。
判断は「〇〇だから、こうする」の形で残す
記録といっても、長い文章は必要ありません。私は次の4つだけ書くようにしています。
- 決めたこと(何をどうしたか)
- 例:一覧は主要5項目だけ表示し、残りは詳細画面へ
- 理由・前提(なぜそうしたか)
- 例:利用者の多くは月に数回しか使わず、操作に慣れていない
- あきらめたこと(選ばなかった案と、その良さ)
- 例:慣れた人が1画面で全部確認できる便利さ
- 見直す条件(どうなったら考え直すか)
- 例:「詳細を開くのが面倒」という声が続いたら
ポイントは「あきらめたこと」と「見直す条件」です。何を選ばなかったかが分かると、後から読んだ人も「ちゃんと比べたうえで決めたんだな」と分かります。
うまくいかなかったら「前提」を直せばいい
リリースしてみたら、思ったような結果にならなかった。そんなことはよくあります。
このとき理由が残っていれば、「前提のどこが違ったのか」を確かめられます。
「操作に慣れていない人が多い」と思っていたけれど、実際はヘビーユーザーが中心だった。
→ だったら、一覧に出す項目を増やしてみよう。
逆に、理由が残っていない決定は、誰も変えられなくなります。「なんとなく昔からこうなっている」ものは、変えてよいのかどうかも判断できないからです。
理由を書いておくのは、正しさを証明するためではありません。間違っていたときに、直せるようにするためです。
記録が溜まると、ルールになる
判断のメモを続けていると、同じような理由が何度も出てくることに気づきます。
- 初めて使う人を優先する
- お金に関わる操作は、必ず確認を挟む
- 数字は右揃え、単位は小さく
こうして繰り返し出てくる判断は、もう個別の判断ではなく、そのサービスのルールです。ルールとしてまとめておけば、新しい画面を作るときも、新しいメンバーが加わったときも、同じ考え方で進められます。
さらにその奥には、「このサービスは誰の、何のためのものか」という目的やペルソナがあります。ここが言葉になっていると、迷ったときに立ち返る場所ができます。
ちなみに、こうして言葉になったルールは、AIに作業を手伝ってもらうときにもそのまま伝えられます。人にもAIにも伝わる形で残しておくことが、これからはさらに大事になりそうです。
デザインのルールを整理する考え方については、こちらの記事も参考にしてみてください。
デザイントークン(Design Token)って何?
小さく始めるコツ
最初から立派なドキュメントを作ろうとすると、続きません。
- 迷ったときだけ書く
- すべての判断を書く必要はありません。
- 1件3〜4行で終わらせる
- 上の4項目だけで十分です。
- 置き場所をひとつに決める
- デザインファイルの横、共有ドキュメントなど、チームが見る場所に。
- ときどき読み返す
同じ理由が3回出てきたら、ルールに昇格させるタイミングです。
まとめ
- UIの判断には、正解がひとつに決まらないトレードオフが多い
- 「決めたこと・理由・あきらめたこと・見直す条件」を短く残す
- 理由があれば、うまくいかなかったときに前提を直せる
- 記録が溜まると、ルールになり、目的やペルソナにつながっていく
デザインの見た目は画面に残りますが、「なぜそうしたか」は書かないと消えてしまいます。1行のメモから、始めてみてはいかがでしょうか。
意図を残すことについては、こちらの記事でも触れています。
デザイナーが提供するのは、デザインだけではない









