UX / UI のデザインに強いアプリ・Webシステムの開発と、企業へのAI導入を支援する
N's Creates (エヌズクリエイツ) 株式会社 の 中田和行@神戸のデザイナ社長 (facebook / X ) です。
最近、AI に「今日はもう使えません」と言われた。
正確にはこうだ。
パソコンに向かって作業していて、頭がだんだん乗ってきて、「よし、ここからだ」というところで——
画面にこう出た。「ただいま利用上限に達しました。しばらくすると、また使えます」。
しばらく、って何時間だ。
時間を増やすために AI を使っているのに、その AI に時間を取り上げられている。
正直、けっこうイラッとした。
で、調べてみて分かった。
原因は、AI が貧弱だったからじゃない。僕が「買ったまま」「初期設定のまま」、全開で使っていたからだった。
今日は、その「設定」を見直したら何が変わったか、という話を書きます。
先に、ひとつだけ断っておきます
この記事も、僕ひとりで書いていません。
「ARPEGGIO」と呼んでいる、AI エージェントのチームと相談しながら書いています。
ARPEGGIO は、僕の頭の中の役割分担を、そのまま「人」の形にしたものです。
ひとりで考えるより、いろんな役の自分と話し合った方が、考えが深くなる——そう気づいて作りました。
本物の社員ではなく、AI で組んだチーム。社長役、ツッコミ役、編集役、ブランド役……みんな「僕の中の一面」です。
メンバー:朱(あか)・白(しろ)・玄(くろ)・橙(だい)・茜(あかね)・紅(くれない)・翠(みどり)・緋(あけ)。
途中で名前が出てきます。詳しい紹介は、前回の記事 「AIで返ってきた時間に、自分が出る」 に書きました。
——あと、ひとつだけ。これから出てくる彼らとの会話は、録音を文字に起こしたものではありません。僕の頭の中で起きていることを、わかりやすいように「お話」の形に整えてあります。セリフは多少、盛っています。そういうものだと思って、気楽に読んでください。
「AI の設定、見たことあります?」
止められてブツブツ言っていたら、白がやってきた。
白は、僕の相談をいちばん最初に聞いてくれる係だ。
「上限に当たったんですね」
「そう。せっかく乗ってきたのに」
「……ひとつ聞いてもいいですか。AI の 設定、見たことあります?」
「設定?」
「スマホ、買ったとき、設定画面を開きますよね。明るさとか、通知とか、文字の大きさとか。AI にも同じように設定があるんです。でも——開いたことがない人、けっこう多いんですよ」
「……ない」
そうだった。
僕は、AI を「箱から出して、そのまま、フルパワーで」使っていた。
スマホを買って、初期設定のまま、画面の明るさ最大・通知も全部オン、で使い続けているようなものだ。
そりゃ、すぐ電池が切れる。AI でいえば、すぐ「もう使えません」になる。
そこで、白と一緒に、AI の設定を一個ずつ見直してみた。
変わったポイントを、なるべくやさしい言葉で書いてみます。

見直しポイント①:どの AI を使うか(いちばん効いた)
これがいちばん効いた。
AI には、賢さのちがう「種類」がいくつかある。
ものすごく雑にいうと、
- 軽い AI:速い・安い。かんたんな調べ物や、こまごました整理が得意
- ふつうの AI:バランス型。たいていの仕事はこれで足りる
- 重い AI:いちばん賢い。そのぶん、いちばんお金がかかる。むずかしい判断や、最後の仕上げ向き
(具体的な名前でいうと、僕がふだん使っている「Claude Code」というツールなら、軽い=Haiku、ふつう=Sonnet、重い=Opus という3段です。ChatGPT など他のツールにも、たいてい似たような「松・竹・梅」がある。名前は違っても、考え方は同じです。)
で、僕がやっていたのは——ぜんぶ「重い AI」に頼むことだった。
ちょっとした調べ物も、ファイル探しも、メモの整理も、全部いちばん賢いやつに。
これ、会社にたとえると、こうだ。
コピー取りも、会議メモの清書も、備品の発注も、ぜんぶ「いちばん優秀な役員」ひとりにやらせている小さな会社。
その役員、すぐパンクするに決まっている。
しかも、本当にその人にしかできない大事な判断のときには、もう手が回らない。
——僕の AI が「今日はもう使えません」になっていたのは、まさにこれだった。
だから、変えた。
仕事を「軽い・ふつう・重い」に分けて、軽いものは軽い AI に、ふつうはふつうに、重いものだけいちばん賢い AI に。
そして大事なのが——いちばん下から始めて、足りなかったら一段だけ上げる。
いきなりトップを呼ばない。エスカレーターを、1階から乗る。

ARPEGGIO チームには、これを「仕事を振るときのルール」として最初から入れておいた。
僕がいちいち「これは軽いから……」と考えなくても、白たちが勝手に振り分ける。
人の会社でいえば、「いちいち社長が指示しなくても、適材適所で回っている状態」。それを AI のチームに作った。
結果——あれから3週間、一度も止められていない。
そして気づいたのは、「安くなった」というより、いちばん賢い AI の出番が、本当に大事なときだけになったということだ。
こまごました用事ですり減らしていない分、いざというとき、ちゃんと頭を使ってもらえる。
見直しポイント②:「考え込みモード」は、ふだんオフでいい
AI には、「じっくり考えてから答える」モードがある(「拡張思考」などと呼ばれる)。
便利そうだから、と、僕はずっとオンにしていた。
でも、よく考えたら——「今日の天気は?」みたいな質問にまで、腕を組んでうなってもらう必要はない。
時間もかかるし、その分のコストもかかる。
ふだんはオフ。本当にむずかしい相談のときだけ、オン。
それだけで、軽い質問がサクサク返ってくるようになった。
見直しポイント③:答えを「短く」返してもらう
AI は、放っておくと、わりと長文で返してくる。
ていねいといえばていねいだけど、読むのも大変だし、長く書く分だけコストもかかる。
設定で「簡潔に答えて」というモードを選べる。
これにしたら、要点だけスッと返ってくるようになった。
——もちろん、じっくり相談したいときは元に戻す。
でも「ふだんは短め」にしておくと、日常の細かいやり取りが、ずいぶん軽くなる。
白:これ、人に頼むときも同じですよね。「3行で要点ください」って言うか言わないかで、返ってくるものが全然違う。
たしかに。
見直しポイント④:自分のルールを、覚えさせる
僕は毎回、AI に同じことを言い直していた。
「結論から言って」「em dash(——)は使わないで」「敬語じゃなくていい」……。
これ、一回ちゃんと「覚えさせる」仕組みを作れば、もう言わなくていい。
自分のルールや好みを書いたメモを用意して、AI がそれをいつも見るようにしておく。
「em dash 使わないで」と言ったら、AI が自分でそのメモを書き換える。次からは言わなくていい。
毎回の説明って、地味だけど、積もると馬鹿にならない。
覚えてもらえば、その分まるごと浮く。
(このあたりは、もう少しちゃんと書きたいので、また別の機会に。)
おまけ:これは「設定」じゃなく「習慣」だけど
設定の話ばかりしてきたけど、ひとつだけ、設定じゃなく習慣の話を。
何かを作らせるとき、僕は「ふわっと」頼んでいた。
だから、出てきたものが思っていたのと違って、作り直して、また違って、作り直して……。
- A さん:とりあえず2分で「こんな感じで」と頼む → 出てきたものが違う → 3回作り直す
- B さん:最初の20分で「こういうものが欲しい」をちゃんと決める → 1回で完成
どっちが安いか、早いか、いいものができるか。——B さんだ。考えるまでもない。
人に頼むときには自然にやっている「段取り」を、AI にはやっていなかった。それだけのことだった。
玄のツッコミ:「設定いじって満足して終わる人、いますよ」
ここまで話したら、玄が口を出してきた。
玄は、僕の考えに必ずツッコミを入れる係だ。
「いい話っぽく言ってますけど」と玄。
「設定いじるの好きな人、いますよね。一日中いじって、満足して、結局その AI を仕事で使わない人。あと、『安いほうで、安いほうで』が口グセになって、本当はちゃんと考えなきゃいけない場面まで反射的に手を抜く人。会社でも見たことあるでしょ。『経費削減』が目的になっちゃって、伸びるための投資まで止めちゃう会社」
……刺さった。これは、よくあるやつだ。
でも、僕の中には答えがあった。
設定を見直すのは、「安くするため」じゃない。
「本当に大事な場面で、いちばんいい力を全力で使えるようにするため」だ。
どうでもいい用事にトップを使い切っていたら、肝心なときに「もう使えません」になる。だから、軽いものは軽く済ませる。
それはケチじゃなくて、「力の使いどころを決める」ということだ。
会社も、たぶん同じだと思う。
お金の出入りを見るのは、ケチるためじゃない。ここぞというときに、ちゃんとお金を出せるようにしておくためだ。
ムダを減らすのは、ゴールじゃない。減らした先に「集中」がある。
玄は「ならいい」と引いた。
ただし、と付け足した。「設定をいじっただけで満足するな。出てくるものの質が落ちてないか、ときどき自分で見てくださいよ。安くした結果、しょぼいものが出てきてたら、本末転倒ですからね」
——その通りなので、いまは、使った量と、出てきたものの出来を、ときどきチェックしている。
また、あの「らせん」に戻ってくる
前回の 「AIで返ってきた時間に、自分が出る」 で、僕はこんなことを書いた。
AI が時間を返してくれる → その時間で、自分が何をしたいか考える → やりたいことが見える → AI と一緒にそれを実現する → また時間が返ってくる → もっと深く考えられる。
——ぐるぐる回る「らせん」。
今日の話は、そのらせんを止めないための話だった。
どんなに「AI に時間を返してもらおう」と思っても、設定が「買ったまま」だと、「もう使えません」の壁にぶつかって、らせんが止まる。
だから、一度ちゃんと設定を見直す。どの AI を使うか、考え込みモード、答えの長さ、記憶。あと、頼む前の段取り。
これは「お金を節約する話」に見えて、本当は——返ってきた時間を、止めずに回し続ける話だ。
それと、おまけがあった。
AI の設定を見直しただけで、AI への頼み方が、人への頼み方に近づいた。
得意な相手に、得意なことを頼む。長すぎる報告はいらないと言う。同じ説明を繰り返さなくていいようにする。頼む前に、何が欲しいか決めておく。
——これ、ぜんぶ、人に仕事を頼むときに大事なことだ。
AI をうまく使おうとしたら、結局、「人に仕事を頼む」の基本に戻ってきた。
便利な道具ほど、「買ったまま・全開」で使うと、手元で暴れる。
一度ちゃんと設定して、ていねいに渡すと、ちゃんと返ってくる。時間も、成果も、そして——落ち着いて考える余白も。
最後に、ふたつのドアを置いておきます
ここまで読んでくれた方へ。
もし「うちの会社の AI、なんとなく使ってるけど、設定なんて見たことない。いくらかかってて、どれくらい効いてるのかも、よくわからない」と感じたなら、
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どの設定を見直して、どこに何を使うか。「使い方の土台」を一緒に組み立てるところから始めます。
もし「こんなふうに、道具を考えながら使う会社で働きたい」と感じたなら、
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僕らは、便利な道具を「買ったまま全開」じゃなく「ていねいに設定して」使う仲間を探しています。
どちらでもなくても、ここまで読んでくれたこと、ありがとうございました。
それも、あなたが返ってきた時間で選んだ、ひとつの行動です。
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